🌟仕組み債、デリバティブ、オプション ― 2021年09月02日 20:58
以前、別のブログに載せていた記事を、このブログに移します:
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2021年9月2日
仕組み債、デリバティブ、オプション
今日の勝間和代さんの動画は衝撃だった!
バブル時代に、日本の機関投資家にさんざん火傷を負わせた「仕組み債」が、昨今は個人向けに売られていることに対する、警鐘に満ちた動画である。
勝間さんの言うとおりだ!
「仕組み債」、「デリバティブ」、「オプション」と聞いたら、素人は直ちに逃げるべきだと、うすぼんやりした私でも感じる。
こわいな~! バブル崩壊の阿鼻叫喚を知らない若い人たちが、昨今の投資熱ブームに乗ってきているから、「機関投資家はもう騙されないけど、バブルを知らない個人相手ならまだダマせるだろう」ってこと? アコギだね~!
かつて、
「オプション」という「デリバティブ」がくっついた「仕組み債」で、アメリカの投資家たちが濡れ手に粟のボロ儲けをしたことがある。
「日経プットオプション(日経平均リンク債)」と呼ばれる「仕組み債」を使ってだ。
誰にその仕組み債を売ったかって?
日本の生命保険会社に売ったのだ。
つまり、日本の金融のプロの機関投資家相手に売ったのだ。
その結果、どうなったかって?
日本の生保は大火傷を負った! つまり、
日本の生保の保険商品を買っていた日本国民が大火傷を負ったのだ!
「日経プットオプション」には、とんでもないオプション条項が仕組まれていたのだ!
「オプション」って何?
「売る権利や買う権利を売ったり買ったりすることだよ」
一般ピープルには、ちんぷんかんぷん!
オプションは遠い昔、エジプト時代に、もうすでに有った。
自分が将来損をするかもしれないリスクを、お金を払って他の人に肩代わりしてもらう契約のことだ。
日経平均が40,000円を超えていたバブル時代:
「あの~、すみません。 よい儲け話があるのですが。 もし万が一、万が一にもですよ、もしも日経平均が17,000円以下に下がった場合に、日経平均の株式(ETF)を25,000円で買い取ってくれる約束をしてくださったら、こ~~んなに高利回りの、この債券を出血大サービス!のこ~~んなにお安い、格安価格でお売り致します」
「えーっ!? いいの? 日経平均は40,000円を超えて、これからも天井知らずなのに!? 日本経済はこれからずーっとイケイケドンドンだよ! ジャパン・アズ・ナンバーワン! もうすぐ、日本がアメリカを追い越して、世界一の経済大国になるんだよ! 万が一、日経平均が17,000円を割り込むって? あるわけないでしょ? え?なに?この格安の債券を買えば、そーーーんなに高い利回りを毎年毎年払ってもらえるの?夢のような話だなーっ! はいはい、いいよ、いいよ、買ったげるよ! だって、日本の株式市場が暴落するなんてこと、あるわけないから! 悪いなぁ、あんたがたはとってもいい人たちだね、っていうか、お人よしっ! いい人過ぎるよ!」
そして、間もなく、バブルがはじけた。
日経平均はドンドン下がって、とうとう、問題の17,000円を割り込んだ、その途端に、
「おい、てめぇら、以前、確かに約束したよな! 今日の日経平均は、ってーと...、おーや、15,000円じゃないか。 じゃあ、そろそろ、契約どおり、俺たちがマーケットから15,000円で買ってきた日経平均株式を、25,000円で買い取ってもらおうじゃねぇか。 え? 買えない? 無理ですって? 何言ってやがるんだコノヤロウ! ほら、ここに、ちゃーんと、てめぇらがサインした契約書が残ってるんだよ! つべこべ言わずに25,000円出しやがれ!」
「ひどい! ひどいよ! あのとき、40,000円を超えてイケイケドンドンで、日経平均がこんなにも下がるなんて、思いもしなかったんだよ! .....、あなたがたから25,000円で買って、今、マーケットで売ったら、....!! 15,000円にしかならないじゃないか? ということは、.... 10,000円も損してしまうよ!(泣)」
「そーよ。 そのリスクを承知のうえで、てめぇらは、俺たちから、このヤバすぎる危険な仕組み債を買ったってわけよ。 てめぇらがホイホイ買った、とってもとってもおいし~利回りが付いてくる仕組み債にはなぁ、マーケットが一定水準まで下落した場合にトリガーされる、博打(ばくち)の仕掛けが仕組まれていたんだよ! つまり、俺たちは、株式市場の下落で火傷をしたことがない、金融市場の怖さを知らない日本のてめぇたちに目を付けて、この仕組み債を作って売ったのさ! つまり、俺たちは、マーケットが下落したときに損をかぶるリスクを、てめぇらに肩代わりさせたってわけ。」
「でも、僕たちが買ったのは、そんなウサン臭い債券じゃない、由緒正しい債券だったはずだよ!」
「ハハハ! 債券の顔にちょっとした化粧をしてやったのさ。 そうしないと、いくら能天気な田舎者のてめぇらでも、疑うかもしれないからな。 表向きは由緒正しきヨーロッパのソヴリン債っていう顔にしたのよ! そしたらまんまと引っかかりやがった!」
「くそーぉぉぉっ! お前たちは、最初からこうなることを知っていて僕たちをダマしたんだな! 卑怯者! 一体、だれが、そんな悪だくみをしたんだ!?」
「俺たちのお客様、アメリカの投資家様たちさ。 日本の株式市場がバブルの様相を呈していると感じたアメリカの投資家のみなさんが、バブル崩壊による株式市場の暴落でひと儲けしようと、俺たちにこの仕組み債を作らせたのよ! いいか、よく聞けよ! 俺たち欧米はな、オランダのチューリップバブルから、イギリスのサウス・シー・バブル、アメリカの世界恐慌...。 今まで、何度も、何度も、バブルとその崩壊を経験して、火傷を負ってきたんだ。 だから、もう身内相手にはそうそうダマせない。 そんなところに、飛んで火に入る夏の虫の、敗戦の焼け跡から泥だらけのエコノミックアニマルになって働きづめで、経済が急成長したとたんにバブルに突入して、浮かれ騒いでいる、何にも知らないてめぇら日本人を、ちょいとカモにしただけよ! とくに、保険金の支払いのために少しでも高利回りでカネを運用したい、てめぇら日本の生保を狙ってな! フッフッフッフッフッフッフ、ハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ!!!!」
かくして、
日本の機関投資家は、バブル崩壊で大きな火傷を負ったので、もはや騙されない。
ところが、
日本の個人投資家。 とくに、
バブルとその崩壊の痛みを知らない若い人たちは、同じ仕組みにダマされる可能性が高い。
「日経プットオプション」の詳しい内容とその顛末は、ハーバード大学のビジネスケーススタディーになっている。 MBAを持っている人なら、読んだかもしれない。
また、
「一般ピープルは、機関投資家と同じような投資をしたら絶対にカモられて財産を失うから、ETFやインデックス投資によってマーケット全体に投資して、めったやたらに売り買いせずに、長期保有に徹するべし!」
という、昨今言われるドルコスト平均法の元ネタは、
経済学者Burton Malkiel著『ウォール街のランダムウォーク(A Random Walk Down Wall Street)』という本であろう。 1970年代以降、アメリカの証券会社に食い物にされまくったであろうアメリカの一般個人投資家に向けた、福音の書である。
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