🌟植物と民間信仰。2024年05月22日 16:34

西洋ニワトコの花(Sambucus nigra-サンビューカス・ナイグラ。英名elder-エルダー)イギリス田舎
        ☆想い出写真☆



世界の民族の歴史には、植物に関する民間信仰がそれぞれあって、とても興味深いと思います。

四季のある地域に共通するのが、「常緑樹=永遠の命」の信仰ですね。

京都の二条城に、徳川家康(武家)が京都の天皇など宮家(公家)をお迎えする貴賓の部屋がありますね。

貴賓の間の中にある、一段高い畳の場所に、宮家をお迎えして、武家は宮家に平伏お辞儀したのですが、

宮家が座る一段高い場所の襖絵には紅葉(モミジ)の木々の絵が描かれている。

一方、武家がへりくだってお辞儀する、一段低い畳の襖絵には檜だったか松だったか忘れましたが、常盤樹(ときわじゅ)が描かれている。

へりくだってお辞儀していても、
「お前たち公家の世は、秋のモミジの葉のように散りゆくのだ!
 我々武家の世は、常盤樹の葉のように未来永劫色褪せることなく、永遠に続くのだ!」
という、絵画によるメッセージですね。


イギリスで、
クリスマスのときに、宿り木の実がたわわについた枝を天井からぶら下げて、その下でキスをするという、土着の民間信仰がありますが、

これは、日本でいうなれば、
お正月に食べる数の子や田作りみたいなもの。

植物でいえば、千両や万両の赤い実。
これらは、イギリスではセイヨウヒイラギの赤い実。

日照時間が最も短い冬至前後に、
「秋~冬至の最も厳しい時期が過ぎて、
これからはどんどん日が長くなって、
生命活動が活発になっていく!
もうじき春になって子作り子作り繁殖繁殖の時期がやってくるぞー!」
という、希望と喜びを表している。


イギリスの田舎の、ヘッジ(家畜を囲って家畜泥棒から家畜(資産)を保護する生垣)に、よく植えられているのが、西洋ニワトコ(Sambucus nigra-サンビューカス・ナイグラ。英名elder-エルダー)だが、
ハリーポッターの魔法の杖に使われているんだって?
私は映画は全然見ないので知らないけど、
おそらく、イギリスの土着信仰に深く根付いた、
ブリテン島の人たちにとって身近な木なんでしょうね。

エルダーの花でつくったサイダーみたいな飲み物が
イギリスで売られていたと思いますが、
日本のノンアルコール梅酒サワーみたいなもの?
古くからブリテン島の庶民たちの身近な普段の飲み物だったに違いありません。

学名の「Sambucus nigra-サンビューカス・ナイグラ」のnigra-ナイグラは「黒い」という意味で、たぶん、実の色が黒っぽいことからなのでしょうか。

エルダーは、 根から特殊な物質を出して、ライバルの樹木が生えないように、自分が生えている場所の土を自分のために「汚染」します。このようなライバル撃退法を「アレロパシーallelopathy」というんだそうです。

同じようなライバル撃退法は、ツツジやサツキにもあって、ツツジが植わっている下の土は、密な枝葉の暗い影になっていることもありますが、草ひとつ生えずにひっそりとしている雰囲気があります。

日日草も、根から毒を出しますね。そうとは知らなかった私は、日日草とペチュニアの寄せ植えの鉢をつくって悦に入っていたら、1か月ぐらいでペチュニアが枯れてしまいました!

日日草は花が可愛らしいし、花柄摘みも楽だし、丈夫だし、雨ざらしにしなければ元気に育ってくれし、なんといっても値段が安いし害虫が来ない!と大好きですが、害虫が来ないはずだ!花や葉にも毒があるんだものね。



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